今の時代、企業プロモーションを牽引するのがプロモーションムービーです。動画による広告は当たり前のものになりましたが、ムービー作成はさまざまな工程が待ち受けています。ムービー作成時にすべき工程を大きく分けると、プリプロダクション、プロダクション、そしてポストプロダクションの3つです。ただし、その内訳はとても複雑で、それぞれに専門知識や技術が求められることは珍しくありません。ここでは、企業プロモーションムービーを作成するための工程についてご紹介します。
■企業プロモーションムービー作成の工程
企業プロモーションムービーは撮影して終わりというわけではありません。さまざまな工程を経てひとつの作品を完成させます。まずは、各工程について行われることの概要を見てみましょう。
【プリプロダクション】
ムービー作成の準備工程です。企画構成や絵コンテ作成、あるいは制作スケジュールの立案などが行われます。また、ムービー作成の規模によりますが、ロケのための下準備として多くの現場へ出向くケースもあります。
【プロダクション】
主にムービーの撮影期間のことを言います。撮影自体は1日で終わることも多いですが、取れ高に応じてムービーの質が変わってしまうことも少なくありません。下準備を的確に実行する仕事の力量に加え、カメラでの撮影技術や演技を見極める審美眼が問われる部分です。
【ポストプロダクション】
映像の編集や音声加工などの仕上げ作業を行う工程です。また、必要に応じてCG制作やナレーションなどを手掛けるケースもあります。ポストプロダクションは撮影と異なるノウハウが必要なので、ポストプロダクション専門会社も存在するほどです。
■プリプロダクションの内容
プリプロダクションの工程がずさんだと、最終的に完成するムービーの訴求力に大きく影響します。どのような工程があるのでしょうか。
【予算策定】
まずは予算決めから行います。予算によって、誰が出演するか、どこで撮影するかなどの制限が生まれるため、作品全体に大きく影響する大切なパートです。当然予算が多いほうがよいムービーは作りやすいですが、低予算でも企画次第ではよいものができます。
【企画構成】
なぜムービーが必要なのか、誰に訴求すべきかを考えるパートです。視聴者へ企業様や店舗様の商品・サービスを押し付けしないよう、客観的な映像づくりを目指して企画をします。企画立案後または同時に、シナリオ作りに向けたリサーチ作業を行います。出演者やロケ地がこのタイミングで決定することも少なくありません。
【シナリオ作成】
誰がどのシーンに出演するか、どんな映像や音声で伝えるかを考え、台本を作成します。文章を書く工程ですが、映像で使うのは言葉だけではありません。どの方法で伝えるのがベストかを決めるため技量が問われるパートです。
【絵コンテ作成】
プロダクションの領域に近いですが、どのようなシーンを切り取るかを事前に決めるパートです。文字だけではどんなシーンが必要かはわからないため、シナリオ作家とカメラマンのイメージを絵コンテで共有して明確にします。
【ロケハン】
ロケーション・ハンティングの略称です。シナリオや絵コンテに合った場所を探し、適切な撮影場所を決めます。ロケーション次第では、動画で伝えられる商品やサービスの魅力が半減することもあるため、できる限り妥協しないことが大切です。
【スケジュール調整】
すべてのスケジュールが決まった段階で、出演者やカメラマンのスケジュール調整をします。機材や場所取りが必要な場合、事前に機材調達の連絡やロケーション確保の申請が必要です。
■プロダクションの内容
ムービー作成の現場では、プロダクションとは撮影のことを指すと言っても差し支えありません。全体から見ると一工程ですが、下準備した内容をきちんと表現するために必要な工程です。
【本番撮影】
当日の撮影の工程です。通常、事前に進行表を作成しているため、クライアント様に立ち会っていただく場合はそちらを見ながら確認してもらいます。撮影時は、キャストの演技やライトの当て方などに注意しながら、企業のプロモーションムービー作成に必要なパーツを集めます。
【イラスト作成】
映像内でイラストを使用する場合、クライアント様の希望イメージに沿うようなイラストを作成します。まずはラフ画でテイストやポージングを共有し、クライアント様の納得いくイメージができあがったら本制作です。シナリオや絵コンテに合わせながら、最適なイラストを作成します。
【撮影チームの役割】
撮影チームに求められることは撮影技術だけではありません。撮影現場ではキャストへの気配りや近隣住民への配慮が必要です。気持ちよく撮影が進むことでムービーの取れ高も上がるほか、企業イメージも保たれます。トラブルを防ぐ意味もあるため、よい撮影チームに依頼するのがよいでしょう。
■ポストプロダクションの工程
撮影が終わったらポストプロダクションの段階です。編集者の力量次第で、最終的な出来栄えが変わります。ポストプロダクション専門会社もあるため大切な工程です。
【編集工程】
撮影したムービーから不要な部分を削ったり、音声やテロップを付けたりする工程が編集です。編集者のセンス次第で最終的なムービーは変わります。事前に作成したシナリオ通りになっているかを考えながら編集が進みます。代表的な職種の一部を紹介しましょう。
・エディター
編集者のことです。音声やセリフなどをまとめる監督のような立場だと言えます。
・サウンドデザイン
音源制作を担当します。効果音からBGMまで、さまざまな音を扱います。
・MAミキサー
音声の仕上げの役割です。どの音声を引き立てるか、ミキシングを行います。
・テレシネ(カラリスト)
映像の色彩や輝度を調整します。企画制作の意図に応じた色調で、企業プロモーションの質を引き立てるパートです。
【試写】
クライアント様に編集後の映像を見てもらう工程です。映像に加え、音声やテロップなども確認します。初めて細かなニュアンスを伝えられるタイミングです。実際に制作スタッフとクライアント様で確認し、その場で微調整を行うケースも見受けられます。
【修正】
もしクライアント様のイメージと異なる部分があった場合、修正作業を行います。ムービー作成は一回で終わるほうが少ないです。大幅な修正の受付は難しいですが、細かな点をすり合わせながら完成を目指します。
【ポストプロダクションチームの重要性】
ポストプロダクションの工程はチーム作業が多いです。機器の進化によって個人でも完結できる時代ですが、ポストプロダクションの工程で専門知識や専門技術が問われることは少なくありません。多くの人に見せるであろうプロモーションムービーを作成する場合、個人で作成するのは難しいでしょう。
プリプロダクションからプロダクション、ポストプロダクションまでの工程をご紹介しました。会社によって具体的な手順や内容は多少異なりますが、おおむねこのようなスケジュールで進んでいると考えるとよいでしょう。各工程に専門家が在籍し、ひとつの作品を作成するのが企業プロモーションムービーです。ハイクオリティなムービーを展開することで、初めて企業イメージの向上や商品・サービスの訴求ができると思います。ぜひ、プロフェッショナルな専門会社に依頼し、企業の事業活動に効果を発揮するようなムービーを作成しましょう。