商品・製品動画や会社・工場紹介の映像を作って、しかも多言語に展開をしないといけない
多言語版のコストや制作期間、翻訳、ナレーターなど、、、
企業の広報や代理店様には少しご面倒なお話かもしれません。
今回はその多言語版を制作される際に、どの様に進めていけばコストや工数を下げることが出来るのか実際に映像を作る制作会社からの観点でお話しさせていただきます。
1.原稿上の翻訳と話し言葉の翻訳は異なる
多言語版制作に伴い、一番初めに発生するのが翻訳作業です。
そして、一番最後まで揉めるのがこの翻訳という行程です。
映像の中の翻訳といえば、映像内に入っている文字やテロップの翻訳やナレーションの翻訳などがあります。
翻訳原稿の概算お見積ですが1文字@20円ぐらいが基準になりますので、400文字の原稿用紙であれば8,000円ほどです。
ナレーションに関しては1分間に300文字で読むことが標準のスピードとされていますので、3分の映像であれば24,000円のナレーション翻訳費用の概算見積となります。
またはナレーションなどの翻訳は企業様が海外支店にお願いされ日本語を英語に翻訳したり、中国語に翻訳した原稿を頂くことがあります。
しかし、この海外支店での翻訳ケースですが半分ぐらいの確率で実際に原稿を読まれるナレーターさんから「表現がおかしいですよ」とご指摘を頂くことがよくあります。
クライアント様は「海外支店にもネイティブスピーカーがいるので間違っているはずがない」と思われるお気持ちも理解できるのですが、翻訳した原稿の言い回しと実際に声に出して読む言葉では少し違ってくるものです。
ナレーション録音当日に原稿の修正を行うと録音スタジオ費用が勿体無いので、原稿は数日前からナレーターに渡しておきチェックしてもらうのが良いでしょう。
2.テロップを日本語から英語にすると画面からはみ出してしまう事も
映像の中に入っている文字やテロップを翻訳した原稿に沿って多言語化していきます。もし日本語版の制作時から映像の多言語化をお考えであれば、前もって制作会社にその旨を伝えておいた方が良いでしょう。
映像の編集、特に複雑に激しく文字やテロップが動く様な編集の場合に作り方も複雑になって行きます。
もし初めから多言語化が分かっているのであれば、出来るだけシンプルな作り方が可能ですし、多言語化が可能な作り方にする筈です。
多言語を無視した様な作り方になってしまうと、工数がかかるので制作会社からの見積もりが高くついたり、時間がかかってしまったりする可能性が高くなります。
また多言語化する際によくある事ですが日本語に比べて英語やスペイン語などに文字やテロップを置き換えた場合、文字数が1.5倍から2倍の長さになり、文字を入れるスペースが無くなったり、文字をかなり小さくしないといけなくなったりして見栄えが悪くなることがあります。
そういった点でも多言語化がわかっているのであれば事前に制作会社に伝えておいた方が良いでしょう。
ちなみに多言語版に関しての編集費用は10万円程度が目安です。
3.多言語のナレーションは日本語版より窮屈なナレーションになる
これも多言語版を作成する際によくあることなんですが、日本語版のナレーションで段落を詰めすぎてしまうと英語やスペイン語になった時に秒数が足りなくなってしまう事が良くあります。
ナレーションの秒数を間に合わせるために早口にするという方法もありますが、英語版だとナレーションが早くて、せわしないという事にならない様に日本語版の制作時から前もってナレーション同士の段落に少し余裕を持って制作してもらうのがベストでしょう。
もし、英語版になった時にナレーションの秒数が足りるのか不安だという方は制作会社に機械音声の仮ナレーションを入れてもらうと多言語版の完成イメージが掴みやすくなると思います。
4.多言語版のナレーターの選定に関して
日本語版だとナレーターさんがいっぱいいらっしゃって、予算と相談しながら選べるのですが、英語のナレーターさんの料金となると、日本人の方の倍以上が目安となります。
英語や中国語のナレーターの方で基本的に10万円以上~15万円程度、ベトナム語やフランス語になってくると15万円以上プラス、交通費別途というのも良くある話です。(外国人の方は京都にお住いの方が多いので)
あまりに高い多言語版のナレーター費用ですが、ここでコストを抑える方法が2つあります。
1つ目は機械音声で完成としてしまう
2つ目は実力は問わないので若くてあまり経験のない方がいないか探してもらう
の2つです。
1つ目の機械音声のままで完成としてしまうというのは実際に弊社でも事例がありました。
ナレーションの内容が感情に訴えかける様なものだと、機械音声では厳しいと思いますが、淡々と商品の説明していく様な映像では、どうしても感情が入ってしまうナレーターさんよりもむしろアリなのではないかとも思いました。
2つ目の若くてあまり経験のない方を起用するに関してですが、ナレーター事務所も一応会社なので、全く素人を選定する事はまずありません。
またナレーションの内容があまりプロっぽく読まれるとかえってわざとらしいのでプロの方に素人っぽくフレッシュ読んでくださいというのも良くある話です。
こういう場合はコストも抑えることもできますし、アリだと思います。
5.ナレーション録音時によくあるトラブルを回避するために
翻訳もお願いして、編集にも多言語の文字が入り、ナレーターも選定すると最後はいよいよナレーションの録音です。
クライアント様や代理店様はナレーション録音の立会いをお願いされる事が多いと思います。
そして、何度も翻訳原稿や言い回しを事前に確認してきた筈なのですが、1箇所や2箇所は収録現場でナレーションの内容を再修正するか問題になります。
気の利く制作会社のディレクターさんなら問題ありませんが、ここでオススメなのは「迷っているナレーションの内容をどちらも収録してもらう」です。
どちらも収録してデータで残す事が可能ですので、収録後に後から上司や社長に突っ込まれたとしてもその部分だけナレーションを差し替えてもらう事が可能ですし、制作会社さんや録音スタッフさんも嫌な顔は絶対にしない筈です。
以上の様な商品紹介、会社・工場紹介映像の多言語化のコストとポイント5選でしたが如何でしたでしょうか。
記載したリスクマネージメントを頭に入れてもらえば、映像の多言語版はこんな筈ではなかったと言う事にはならないと思います。