「動画制作をするうえで、著作権や肖像権はどんなことに注意したらいい?」
そのようなご質問にお答えします。
本記事の内容
・そもそも著作権はどんな権利?
・動画制作時に注意すべき著作権とは
・動画制作においての肖像権
・著作権・肖像権侵害にならないための動画制作のポイント3つ
動画制作をするうえで、最も重要といっても過言ではないのが著作権や肖像権です。
注意しなければ罪に問われる可能性もありますが、イマイチ分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、動画制作においての著作権・肖像権について基礎知識をご紹介します。
制作時のポイントもお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
創業15年の大阪の映像制作会社、株式会社インディゴの代表。映像業界で20年の経験を誇る。
2006年に単身でオーストラリアに渡り1年弱、現地の映像制作会社の業務に携わり、帰国後に独立しインディゴを創業。
映像に関する、企画、演出、撮影、CG制作など多くの見識があり実績として、クボタ、ダイキン、パナソニック、ハウスウェルネスフーズなど様々な関西大手企業の映像制作を手掛けている。
そもそも著作権はどんな権利?
著作権とは、文芸や学術、美術、音楽などのさまざまなジャンルにおいて、人の思想や感情を創作的に表現した「著作物」を保護するために「著作者」がもつ権利です。
「著作権法」という法律で保護されており、著作者の利益が害されないようにしたり、著作物を他人が勝手に使用するなどの行為を禁止するためにあります。
動画制作時に注意すべき著作権とは
動画制作においての著作権は、動画コンテンツなどの著作物を制作した著作者が保有可能です。
個人で動画を制作した場合は制作者本人が著作権を保有し、外部に制作を依頼した場合は明確な取り決めがない限り、映像制作会社など制作全体を担当した人が著作権を保有することになります。
ここでは、動画制作時に注意すべき著作権について
・映像制作会社に依頼した動画の著作権
・動画内で使用する素材の著作権
上記2つの観点からご紹介します。
映像制作会社に依頼した動画の著作権
動画制作を外部に依頼した場合、お金を支払っているからといって完成した動画コンテンツの著作権自体を依頼者が保有できるわけではありません。
基本的に、依頼者は「利用許諾(ライセンス)」を保有しているだけの状態なので、著作者が決めた利用範囲を守らなければいけません。
たとえば、「動画は自社のWebサイトのみで公開可能」と媒体を限定されている場合、YouTubeなどの他の媒体で公開すると著作権違反にあたる可能性があります。
また、利用できる期間を定めている場合もあるので、違反しないためにも事前に内容をしっかりと確認しましょう。
動画を自由に使用するために自社で著作権を保有したい場合は、権利を譲渡してもらう必要があります。
まずは制作に入る前に著作権の帰属がどこになるか、映像制作会社が著作権を保有する場合に権利を譲渡してもらうのは可能かどうかを確認してください。
動画内で使用する素材の著作権
動画を制作する際、BGMや画像、テキストなど、さまざま素材を用いて加工を施すかと思います。
動画内で使用する素材から全て自分で作成する場合は問題ありませんが、インターネットでダウンロードした素材を使用する場合、それぞれに著作権がかけられている可能性があるため注意が必要です。
たとえば、ダウンロードした音楽をBGMにする場合、著作権がかけられているものは著作者に許可を得て使用料を支払わなければ使用できません。
無断で使用すれば、著作権の侵害になるため注意しましょう。
合わせて知っておくべき動画制作においての肖像権
肖像権は全国民が平等にもつ権利で、許可なく撮影されたり撮影した動画を無断で公開されないようにする権利です。
大きくプライバシー権(人格権)とパブリシティ権(財産権)の2つに分けられます。
それぞれについて見てみましょう。
プライバシー権(人格権)
プライバシー権とは、他人から許可なく撮影されたり、撮影した動画を公開されないための権利です。
たとえば、街中で撮影した動画に個人が判別できる情報が映っていた場合、公開することでプライバシー権の侵害にあたる可能性があります。
映り込みが小さくて個人を判別できない場合や、動画をぼかすなどの加工をする場合は問題ありませんが、撮影時には注意が必要です。
パブリシティ権(財産権)
パブリシティ権とは、影響力の高い芸能人やスポーツ選手などの経済的な利益や価値を保護するための権利です。
たとえば、芸能人の画像を無断で動画内に使用した場合、画像の著作権と芸能人個人のパブリシティー権侵害にあたります。
芸能人などを動画に起用したい場合は、事務所を通してきちんとした契約を結ばなければいけません。
著作権・肖像権侵害にならないための動画制作のポイント3つ
著作権や肖像権の侵害を意図せずおこさないように、いくつかのポイントを抑えて動画を制作しなければいけません。
ここでは、著作権・肖像権侵害にならないための動画制作のポイントを3つご紹介します。
撮影時の映り込みに注意する
動画を撮影する際、背景に著作物や通行人が映り込まないように注意しましょう。
たとえば、写真やポスター、本、雑誌など、身近にも著作物にあたるものは多く存在します。
また、人が多い場所で撮影する場合は、個人が特定できる情報が映らないようにしなければいけません。
著作権・肖像権の侵害になる可能性があるので、撮影時は映り込みに十分注意してください。
万一、著作物や通行人が映ってしまった場合は、動画をぼかすなど判別できないような加工が必要です。
著作権フリーの素材を利用する
BGMや画像などの素材を使用する場合は、フリー素材を上手く活用するのがおすすめです。
著作物であっても許可を得れば動画内の素材として使えますが、高額な使用料がかかったり使用できる期間が決められているなど、制約を課せられる可能性があります。
また、芸能人などを起用すれば、莫大な費用がかかることもあるでしょう。
影響力には欠けるかもしれませんが、クオリティの高いフリー素材も多く、費用も期間の決まりもないため安心して使えます。
なかには、商用利用に制限がかかっている素材もあるため、事前に利用規約などをきちんと確認しましょう。
家族や社員の肖像権に注意する
自分の家族や会社の社員であってもそれぞれに肖像権があるため、身内だからと無断で動画に起用しないようにしましょう。
事前に動画を撮影する旨を伝え、WebサイトやSNS上にアップしても良いか承諾を取る必要があります。
動画制作では必ず企画書をつくりますので、会議や打ち合わせの際には、著作権、肖像権にも注意を払っておきましょう。
» 動画制作の企画書の作り方|企画が採用されやすい5つのポイント
まとめ
本記事では、動画制作においての著作権・肖像権について、注意点や制作時のポイントをご紹介しました。
著作権や肖像権と聞くと難しいように感じてしまいますが、簡単にいえば「他人の制作物を勝手に使用しない」「他人を勝手に撮影してアップしない」です。
また、外部に動画制作を依頼した場合、帰属先など細かい決まりがあります。
動画制作でトラブルに巻き込まれないためにも、著作権や肖像権をしっかり理解しましょう。