「CGのレンダリングってどんな作業?」
そのようなご質問にお答えします。
本記事の内容
・CGのレンダリングとは?
・CGのレンダリングの種類
・CGのレンダリングで知っておくべき注意点
・CGのレンダリングを効率よく進めるためには
CG制作の最後に行う「レンダリング」は、CGのクオリティを左右する重要な工程です。
しかし、レンダリングについてイマイチ分からないという方が少なくありません。
そこで本記事では、レンダリングの基礎的な内容や注意点をご紹介します。
CGのレンダリングについて知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
創業15年の大阪の映像制作会社、株式会社インディゴの代表。映像業界で20年の経験を誇る。
2006年に単身でオーストラリアに渡り1年弱、現地の映像制作会社の業務に携わり、帰国後に独立しインディゴを創業。
映像に関する、企画、演出、撮影、CG制作など多くの見識があり実績として、クボタ、ダイキン、パナソニック、ハウスウェルネスフーズなど様々な関西大手企業の映像制作を手掛けている。
CGのレンダリングとは?
レンダリングとは、3D空間に作成したオブジェクトやエフェクトなどの情報を計算して、2Dの画像に変換する工程です。
具体的には、以下のような情報を変換します。
・ライティング:3DCGシーンにさまざまな種類のライトをあてて陰影を再現する
・マテリアル:3DCGのオブジェクトに質感を設定する
・テクスチャ:3DCGのオブジェクトの質感を表現するために使用する画像
・カメラ:視点の方向や位置などCGソフト上に設定したカメラ
CGソフト上で作成した情報は、すべて数値データの羅列になっているため、そのままでは人の目で理解できません。
ライティングやマテリアルなど、作成した情報が実際どう見えるのか計算処理し、画像として出力するのがレンダリングです。
CGのレンダリングの種類
レンダリングは、計算処理方法の違いで以下の5種類に分けられます。
・レイトレーシング
・ラジオシティ
・スキャンライン
・Zバッファ法
・トゥーンレンダリング
レンダリング方法の違いでCGデータの仕上がりが変わるため、内容を正しく理解する必要があります。
それぞれ見てみましょう。
レイトレーシング
レイトレーシングは、オブジェクトを光で照らす際に行うレンダリング方法で、光や陰影、反射などをリアルに表現できます。
現実世界と同じようなリアリティのあるCGを作成できるため、ゲームなどを中心に最も使用されているレンダリング方法です。
リアルな表現ができる反面、オブジェクトによっては計算に時間がかかることもあります。
ラジオシティ
ラジオシティは、光がオブジェクトに反射してできる反射光を表現するレンダリング方法です。
オブジェクトを直接照らすレイトレーシングと違い、ラジオシティは照明のあたっていない部分が、反射によってぼんやりと見える様子を表現します。
より現実世界と近い表現になりますが、レイトレーシングに比べて複雑な計算になるため時間がかかります。
スキャンライン
スキャンラインは、スクリーンを横1行ごとに分割して、奥行きを計算するレンダリング方法です。
光の屈折などは表現されないため、レイトレーシングやラジオシティに比べると質が下がります。
しかし、比較的短時間でレンダリングでき、技術があれば陰影などもきれいに表現可能です。
仮データを作成する際は、短時間でできるスキャンラインを用いることも多いです。
Zバッファ法
Zバッファ法は、ピクセルごとに奥行き情報をもたせ、カメラから見える部分だけを計算するレンダリング方法です。
隠れている部分の計算を除外するため、短時間でレンダリングができます。
しかし、透明や半透明のオブジェクトの場合、前後の情報が混ざってしまうため、Zバッファ法は使用できません。
また、奥行き情報をもたせるため、メモリを多く必要とします。
トゥーンレンダリング
トゥーンレンダリングは、アニメーションなどによく使われるレンダリング方法です。
これまでご紹介した方法は3DCGをリアルに表現するために用いられますが、トゥーンレンダリングはあえて2Dのように表現します。
手書きなどでは難しい複雑な動きも表現できることから、全編をトゥーンレンダリングで描写する作品も増えています。
CGのレンダリングで知っておくべき3つの注意点
レンダリングは、パソコンが自動で行ってくれるので特別な技術は必要ありません。
しかし、知っておくべき注意点があります。
レンダリングにはスペックの高いパソコンが必要
レンダリングは主にCPUで行うため、スペックの低いパソコンでは高度な処理ができません。
また、レンダリング中にパソコンが強制終了してしまうこともあります。
スペックが高ければ高いほどレンダリングの処理はスムーズにできますが、最低でも以下の内容を満たしているパソコンを選ぶと良いでしょう。
・CPU:Core i7
・メモリ:32GB以上
レンダリングはCGのクオリティを左右する大切な工程です。
しかし、高度なレンダリングはスペックの高いパソコンでなければできないので注意しましょう。
レンダリングには時間がかかる
オブジェクトの内容やレンダリング方法によって異なりますが、1つのモデルで数時間~1日かかることも珍しくありません。
また、一般的なパソコンでレンダリングを行う場合、レンダリング中は他の作業ができないため注意が必要です。
効率よく作業を進めるためには、スペックの高いパソコンを使用することはもちろん、レンダリングサーバーを導入するなどの対策が必要になります。
レンダリングにはコストがかかる
レンダリングにはスペックの高いパソコンが必要とご紹介したように、機器の導入にコストがかかります。
また、効率よく作業を進めるためにはレンダリングサーバーやPCなどを複数台接続したレンダーファームが必要です。
CGのレンダリングを効率よく進めるためには
CGのレンダリングを効率よく進めるためには、クラウドレンダリングサービスがおすすめです。
インターネット上でレンダリングができ、自分のパソコンを使用する必要がないため、スペックが多少低くても問題ありません。
サービスを利用すれば高品質のサーバーでレンダリングできるため、質が高く時間短縮にもなります。
また、レンダーファームを活用するのも一つの手です。
個人の場合、レンダーファームを作成するのは難しいですが、企業が提供しているものもあるため利用してみると良いでしょう。
まとめ
本記事では、CGのレンダリングについて基礎的な内容をご紹介しました。
レンダリングはパソコンが自動で行いますが、設定内容によってCGのクオリティが変わる大切な工程です。
どのレンダリングを行うか、どんな機器を使うかで仕上がりが大きく変わるため、正しく理解して作業を進めてみてください。