前回の【映像制作会社の見積を判断する7つのポイント 前編】では7つのポイントのうち2つ「ディレクション費用」「撮影費用」の見積相場を紹介させて頂きました。
今回は残りの5つの見積を一気に紹介させて頂きます。
・ディレクション費用
・撮影費用
・編集費用
・CG作成費用
・ナレーション費用
・MA費用
・完パケ費用
編集費用 3万円~10万円など様々
編集費用とは撮影した実写映像や作成した3DCGアニメーションを繋げていく作業の事を指します。
その中でもカット編集や加工編集に別れますのでこの2つを詳しく見ていきましょう。
カット編集 1分@3万円~
映像制作会社にもよりますが、撮影した実写映像を1分ぐらいの映像にまとめるだけでしたら3万円ぐらいが相場でしょう。
但し、1分の映像の中でも要求する事が多い場合は少しずつ金額が上がって行きます。
1分の映像を編集するのに3万円もかかるのかと思われるかもしれませんが、何分も映像を撮影したものを1分の映像を編集するには一通り撮影された映像を何度も見てその中から必要な部分だけを抜き取る必要がありますので単純ですが非常に時間がかかる作業となります。
作業の難易度としてはそれほそ高いものではありません。
このカット編集に使用するソフトは主にAdobe Premiere CCやAppleのFinal Cut Pro Xなどになります。
これらのソフトは映像を繋いだり、明るさの調整や文字を入れたりする事しか出来ませんのでより複雑な事を希望される場合は加工編集を行う必要があります。
下記の様な映像がカット編集主体の映像で弊社制作の例
加工編集 1シーン 2万円や1分@10万円~
加工編集とは撮影した実写映像に何かを合成したりクライアント様からご提供頂いたカタログ素材などを動かして映像にする事を言います。
主にAdobe After Effects CCというソフトを使用する事になり、このAdobe After Effecstというソフトがあれば、実写映像や3DCG、カタログデータの写真など、何でも動かしたり加工したりする事が可能です。
撮影したスマホの画面の中に違う画面を合成したり、撮影した人間の手の部分から炎が出るような映画のようなVFXなど実写映像に加工する事がこの加工編集作業に当たります。
下記の映像の8秒目や50秒目のテレビ画面は後から合成した弊社の例
またロゴを動かしたり、商品の特徴や文字が光って出て来るなどのモーショングラフィックスも加工編集の部類に入ります。
この加工編集やモーショングラフィックスに関しては本当にピンキリの相場なのですが、間違いなく言えるのはどこの映像制作会社でもその作業に何人ぐらいで何日ぐらい制作日数がかかるのかを基準にして見積を出しているはずです。
何日ぐらい制作日数が必要なのかは編集マン、モーションデザイナーの腕次第です。
その作業に慣れて入れば質が高く、制作日数も少なくコストパフォーマンスの良いものが出来ますし、作業に慣れていない人であれば質も良くなく、制作日数がかかってしまいコストパフォーマンスが悪くなります。
またこの加工編集やモーショングラフィックスの作業はかなり制作する人のセンスが問われる作業です。
同じ会社に頼んでもクオリティが違うという事は良くあります。
カタログの写真素材を使用しモーショングラフィックスを作成した弊社の例
CG作成費用 15万円~
実写で撮影出来ない商品や製品の構造の説明が難しいものにCGが頻繁に使われます。
CGといっても2次元の平面的なCGや3次元の3DCGがあり、それぞれに工数が変わるので見積も変わってきます。
例えば一つの商品があり、
・その商品の形を作成するのに10万円~
・その商品の形に色や金属的な質感を設定するのに5万円~
と商品のCGを作成するにあたり1点15万円ぐらいからが相場です。
もちろん商品の複雑さなどで費用も変わってきますので15万円より高い場合、安い場合もあると思います。
また、よくあるケースでクライアント様からCADデータをご支給いただく事もよくあります。
そういう場合は形状を作成する手間が省けますのでコストダウンに繋がる場合がありますが形状は頂けても色データは引き継げないので質感を設定する費用は必要になります。(これは3DCGソフトそれぞれの互換性の問題です)
詳しくは弊社ブログの「3DCGの見積やクオリティに影響する4つの項目」をご覧いただければCGの見積に関してより詳しく把握していただけると思います。
下記の映像は3DCGを使用した例です。CADデータはご支給頂きました。
ナレーション費用 5万円~10万円
映像にナレーションが必要であれば映像制作会社はナレーター事務所やボイスプロダクションにナレーターを手配します。
ナレーション費用はナレーターさんの実績年数と人気によって決まっています。
3年以上の経験がある方で相場が5万円ぐらいから。
10年近くや10年以上の実績で10万円前後、10万円以上になることもよくあり、大阪と東京でもコストの差があります。
ただ単純に高ければ良いという訳でもないので映像制作会社からナレーターさんの声のサンプルを聞かせてもらい声の質、持っている雰囲気で選んでください。
またナレータさんも前回の【映像制作会社の見積を判断する7つのポイント 前編】で記載したタレントさんやモデルさん、役者さんと同じように3ヶ月1クール毎の使用期限、使用媒体を求められる場合があります。
しかし使用期限や使用媒体毎に費用が発生してしまうとクライアント様にとって非常に使い勝手の悪い映像になってしまいます。
その場合はナレーター事務所に「権利買取可能な方で」とリストアップをお願いすると通常の費用にプラスされた形で使用期限や使用媒体に捉われない使い方が可能なナレーターさんのみ紹介して頂けますので、映像制作会社にお願いすると良いでしょう。
MA費用 相場10万円~15万円
MA費用とはMulti Audio(マルチ オーディオ)の略称でMAスタジオでナレーションの録音やBGMの調整、映像に入れる効果音などの音関係の作業を行うことを指します。
映像制作の過程において、編集作業は何日もかけて行うことが多いのですが、このMAという作業に関してはMAスタジオで日を設定しその日1日、2~3時間程度かけて一気に行います。
映像のディレクターやMAスタジオの人間だけではなく、録音するナレーションで商品のイントネーションが間違っていないかなど確認が必要ですのでクライアント様の立会いがあるのが望ましいです。
またMA費用は主に録音やBGMや音の調整を行うことを指しますので、BGMの選曲費用は別途となります。
BGMの選曲費用の相場は1曲あたり1万円か2万円程度で、何度も選び直すとその分コストが上がって来ます。
曲を選んでもらうだけで数万円もかかるのかと、びっくりされる事も多いのですが、実は曲を選ぶという作業は非常に地道な作業で1曲1曲映像に合いそうかどうかを聞いていく必要があり時間がかかる作業です。
もし、選曲費用を抑えたい場合は使って欲しい曲を選んだ状態で映像制作会社に頼めばその分コストを抑える事が出来るでしょう。
完パケ費用 DVDの場合 1枚数千円~
完パケとは「完全パッケージ」の略称で制作した映像をどういう形式で納品するのかでこの「完パケ」という作業は変わってきます。
最近の完パケで多いのはmp4という映像データをweb上のデータ便などでお送りする形が多いのですが、まだまだDVDやブルーレイなどの納品のご要望をいただく事もあります。
DVDでの納品の場合に様々なケースがあり、
・DVDを入れるとメニュー画面もなく、いきなり映像が始まるという場合は数千円から。
・DVDを入れるとメニュー画面が出てきて、ボタンを押すと再生が始まる場合はDVDオーサリング作業が発生するので別途1万円から。
などに分かれます。
またDVDも1枚ではなく数百枚、数千枚、さらにDVDのケースもつけてとなりますと@200円からなど様々です。
以上が【映像制作会社の見積を判断する7つのポイント】後編の内容でした。
ご覧いただいた通り映像制作会社も闇雲に見積を出している訳ではなく制作にかかる日数やスタッフ数などで算出しています。
コストを抑える事も可能ですし、よりコストをかける事も可能です。
しかし単純にコストをかければ良いというものでもありませんので、映像制作会社の見積と自社の予算のバランスを見ながら映像制作会社にご依頼してください。